松井隆雄(自動演奏家)

今日は! また取り留めのない話をしばらく聞いてもらいます。

皆さんは、岡村君のアルバムと共にライブもとっても楽しみに待っていると思うのですが、今回は、僕の岡村君のコンサートでの裏話などを中心にお送りしましょう。

僕は現在シーケンサーは Macintosh の VISION を使っているのですが、以前は YAMAHA の QX-3 をずっと使っていて、岡村君の曲のシーケンスデータは殆どが QX-3 用の Disk に納められています。

当然ライブのときも QX-3 が活躍する訳ですが、皆さんもご存知のように岡村君のステージは殆どがノンストップでハイテンションな演奏が繰り広げられる訳で、シーケンスデータも一曲ごとではなく、何曲分もまとめてロードしておかなければいけません。ただこのとき、Macintosh 等のコンピュータのシーケンスソフトと違って QX-3 の場合、一度にロードできるデータの量が少ないので、いくつかのブロックにデータを分けておいて、シーケンサーを使わない曲を演奏している間に次のブロックのデータをロードするわけです。

データのロードには割と時間がかかるので、そのとき演奏する曲は長い曲がベストです。シーケンサーを使わない長い曲といえば、もうおわかりですね、そう、「イケナイコトカイ」 です。岡村君が “いけないこ〜と〜かい?” と歌い始めたまさにそのとき、松井は闇に紛れて 「キューエックス データロード!」 とかけ声をかけ、ENTER ボタンを押すのです。

前回の '92 Tour のときはどうしてもシーケンサーを使う曲のなかでデータをロードしなくてはいけなくなり、悩んだあげく QX-3 をもう一台増やすことにしました。何故悩んだのかと言うと、ライブに於いて機材を一台増やすこと>即ちトラブルの原因が一つ増えることだからです。

案の定、一度だけですが増やした方の QX-3 がデータのロードをできなくなるトラブルに見舞われ、悔しい思いをしたものです。

勿論機材のトラブルだけでなく人為的ミスによる失敗もあるわけですが、僕の場合どういうケースが考えられるかというと、手弾きの演奏に没頭するあまりのシーケンスの止め忘れ、あるいはデータのロードし忘れ等です。

岡村君のライブに於いて、シーケンスデータと共に重要なのが AKAI S1000 のサンプリングデータです。こちらの方もそのデータ量たるや半端ではなく、とてもコンサートが始まる前に一度読み込めばOKとはいきません。当然途中でいくつかのかたまりをロードし直すのですが、こちらの方は '92 Tour の時はローディーのM君にお願いしてやってもらいました。「イケナイコトカイ」 の演奏が始まると、僕は QX-3 のデータのロードを開始し、M君は S1000 のロードを開始する、と言うわけです。

ところがある日、「イケナイコトカイ」 の演奏も佳境に入ったころ、M君が悲鳴にも似た声で 「松井さーん!! すみません!! ロードし忘れましたーっ!!」 と叫びながら S1000 の前に駆け込んでくるではありませんか・・・。コンサートが終わった後、岡村君の楽屋には 「どうもすみませんでした!」 とそろって頭を下げる松井とM君の姿がありました。

因にロードし忘れた原因は?・・・「イケナイコトカイ」 の歌の世界に己を重ね合わせて深〜く入り込んでいたのでした。なせ彼がそれほど深く入り込んでいたのかはナイショ。

では、また!