■ 「太陽の破片」

インタビュアー(以下、I):
尾崎豊トリビュートのオファーはいつ頃ですか?

松元浩一(以下、ゲン):
ちょうど、ツアーの真っ只中ですね。

I :
第一報としてはどういうふうに?

ゲン :
えーと、須藤さん(プロデューサー)から僕あてに携帯に電話がかかってきて、こんな企画があるんだけども、須藤さん的には是非とも岡村に参加してほしいんだと。最初聞いた時には岡村からも尾崎さんと仲良かった話も聞いていたんで、実際トリビュートと言ってもね、かなり当事者意識の強いところでの参加になるだろうからね。話を聞いていると、本当に心を許し合えた、数少ない友人のようですからね。

I :
このお話はすぐに岡村さんに相談したんですか?

ゲン :
そうですね、電話もらって一番気になるのはメンタル部分なので、そこを確認してから返事を改めますって伝えました。それから本人に、尾崎さんに対して自分のメンタル面をクリアしているのならこれこそトリビュートだと思うので、僕はやってもいいんじゃないかなということを話しました。本人も、須藤さんが今回オーガナイズされているのであれば、安心して話に乗っかれると思うので進めましょうかと、わりと二つ返事でしたね。その後も想い出話とか聞きましたけど、岡村の中では彼に対して精神的にはもうしっかりと向き合えているんだなと感じました。だからレコーディングは順調に進みましたね。

I :
レコーディングまでのプロセスは?

ゲン :
「太陽の破片」 をやってほしいと言われる前に何曲か候補曲は出したんですよ。ところが記事にも出ているように、須藤さんの方から 「太陽の破片」 は須藤さんの中にも、尾崎ファンの中にもあの曲の持つ意味が大きいということで是非歌ってほしいんだということだったんです。

I :
岡村さんサイドから出した候補曲の中に 「太陽の破片」 は無かったんですか?

ゲン :
無かったですね。ただ本当に素晴しい出来になって、須藤さんもスタジオで出来上がった音を聴いて感激してましたね。

I :
プロデューサー冥利に尽きる感じですね。

ゲン :
そうですね。岡村も須藤さんの話は尾崎さんからずっと聞いてたらしく、ちゃんとゆっくりお話したのが初めてだったので、「こういう機会で話ができて良かった」 って言ってましたね。

I :
出来栄えは本人も満足?

ゲン :
そうですね。僕的には渾身の出来だと思います。

I :
今回の参加は岡村さんにとってレクイエムのような感じなんですか?それとも・・・

ゲン :
どうでしょうね。たぶん皆さんが想像するような感傷的な感じではないと思いますよ。おそらくそういう時期は岡村もそうだし、須藤さんもそうだと思うけど乗り越えてて、尾崎豊が残した作品に、音楽家として改めて向き合う感じだと思いますけどね。そこに行き着くまでにいろいろな歴史があったわけで、そういう意味でいくと想像力を掻き立てるような作品になっているとは思いますね。それはやっぱり尾崎さんという特異なアーティストの存在と岡村靖幸という特異なアーティストの存在が成せる技かなと思います。だからそうそうたる方々が参加されていると思いますが、間違いなく岡村のパフォーマンスは趣が違うだろうし、違うに決まっているだろうなって感じはしますね。

■ 「ぶっつけ本番でのシークレット」

I :
大沢誉志幸さんのデビュー20周年記念ライブにシークレットで出演した経緯を教えて下さい。

ゲン :
きっかけは、大沢さんのマネージメントから連絡があって、大沢さんも長い間アーティスト活動を休んでいられたので、アーティスト活動を再開するので是非華を添えに来てほしいと。ただ岡村も状況的に外部からのお仕事をこなさなければならない時期で、スケジュール的にはほぼ無理だったんですね。ただお世話にもなっているし、レコーディングを止めない流れでやるにはどうしたらいいか、ギリギリまで先方と話をしてて、じゃあもう飛び入りで1コーラス一緒に歌うだけでもよろしければということになりました。

I :
練習はしたんですか?

ゲン :
いやもう、ぶっつけ本番です。

I :
ステージの岡村さんは嬉しそうでしたね。

ゲン :
そうですね。やっぱり大沢さん、吉川さん、山下久美子さんと随分会ってないし、照れ臭い感じもあったと思うんですけど、終わってみて久しぶりに会って良かったって言ってましたね。いろんな人と話もできたし。

I :
吉川さんと戯れている姿も本当に楽しそうでしたね。

ゲン :
(吉川さんとも)何年ぶりからしいですよ。若干緊張してたみたいですが、会ってみれば昔から気の知れた方々ばっかりだから、すごく楽しくやってましたよね。

I :
今後、このようなことはあるんですか?

ゲン :
いや~ハハハ。まあ、タイミングが一番大きいですよね。