■ ○月×日

いつものごとく30分ぐらいの遅刻で都内のスタジオに着く。「おはようございます」 と声をかけてスタジオに入る(岡村はだいたい僕の後にくっついている)と、既にスタッフはコンソールルームの中で待っていた。

「おはよう、さあ始めようか」 by 岡村

このまま作業は朝まで続くのだが、コンソールルームの中にはミキサー、マニピュレーター、アシスタント、岡村の4人しか入れず、僕とディレクターは、ロビーで話をしている。最近、岡村チームで盛り上がっているのは、“マッキントッシュ” である。以前から話題になっていたが、岡村がマック(マッキントッシュ)を買った事で一段と盛り上がるようになった。ディレクターがマックの○○○を買うとか、周辺機器は○○○がいいなと話をしていると、夕食の 「とんかつ」 がきた。出来立てをそのまま持ってきたようで湯気?がたっていて美味しそうだ。(食事はディレクターが気きかせて、注文してくれる。)

テレビを観ながらの食事。岡村はニュースを観ながら

岡村 「今、どんなニュースがあるんだ?」
ディレクター 「ヤッパリ、金丸だよね」
ミキサー 「捕まって大変ですよね」
岡村 「あー、そー。最近、家でもレコーディング作業してるから、TV観る時間がなくてさー」
マニピュレーター 「岡村くん、僕マックの○○○を買うんだ」
岡村 「早く(操作方法)覚えてくれよ〜」

などど取り留めのない話が続く。余談だが、岡村は決して食べ物をきれいに食べない。もう少し食べ物の大切さを判ってもらいたいものだ!

食事が終わってから岡村はコンソールルームに入ると、トイレ以外は出てこなくなるのが普通である。またロビーが静かになり、ディレクターと僕はプロモーションやマックの話をして盛り上がるが、まだ21時半だ。

まだまだ朝までは長〜い!!

■ ○月×日

今日は、ロビーに沢山の人がいる。何故かというと、となりのスタジオでCM用の録音をやっていて、そのスタッフがロビーを占領してすごく騒がしい。

それでも岡村はいつもの様にすぐコンソールルームに入る。時間が経つにつれ一人、また一人と隣のコンソールルームに入って行き、いつもの静けさを取り戻したロビーには僕とディレクターの二人になり、いつもの雑談が始まる。

夜も更け26時半頃になり隣のスタジオの作業が終わった。

隣のスタッフ 「TDまで終わった。」
ディレクター 「すごいレコーディングしてるね。・・・?」

■ ○月×日

今日はいつもとは別のスタジオ。ここはブースとロビーがB1と5Fに分かれていて、滅多なことがないとスタッフは5Fのロビーに上がってこない。しかし、食事となると話は別で、みんな5Fのロビーで食べる。

岡村 「もう少しで2曲できるよ。」
ディレクター 「あっ!そー、やるじゃん!」
岡村 「この2曲、ギターを入れれば終わる。でもギターの調子が悪いんだ。」
ディレクター 「修理に出した方がいいよ?」
岡村 「でも、もうちょっとがんばってみるよ。」

2〜3時間経ってから電話でディレクターがB1に呼ばれた。出来たかと思ってワクワクしてたが1時間経っても戻ってこない。 や〜な予感がしたが、ただで飲めるコーラを飲んでいたその時!ディレクターからの 「今日は終わり!!」 という電話が・・・ ギターの調子が良くならず、思う音が録れなかったのである。

これから楽器の搬出だー!

■ ○月×日

今日のレコーディングはお休み。岡村愛用のフォークギターが妊娠状態になってしまった為に、都内のギターショップにマニピュレーターと新しいギターを買いに行く。ギターは音が出れば何でもいいと思っていたが(笑)、実際にギターを見て、音を聴くとメーカー、弦、ギターの状態などによって全く違っていた。

[店内にて]

見かけはボロイがいい音の出るギターをやっと見つけた!! 店長曰く、「うちのギターは、私の好みのモノしか入れてません。弦も私が選んだモノです。お客さんの好みに合わないかもしれませんが、自信を持って全てのモノをお薦めします。いろいろ弾いてみて下さい。」

頑固そうな店長だが自分の世界を持っている。アーティストである。岡村も薦められるまま、いろいろなギターを弾く。ボロローン(ギターの音)

岡村 「このギターの弦は、○○○ですか?」
店長 「違うんですよ。私が外国から取り寄せたモノです。」
岡村 「じゃあ、○○○の弦で弾いてみたいのですが。」
店長 「いいですよ。お客さんの耳で選んでもらいたいから、すぐ張り替えますよ。」

店長は手際よく減を張り替えた。

店長 「はいどうぞ、弾いてみて下さい。」
岡村 「あっ、全然違う!張り替えてもらう前の方がいい音ですね。じゃあ、前の弦にもう一度張り替えてもらった状態で買います。」

弦の違いで音が全然違う事にびっくりした。店長が自信を持って薦めるだけあって、すごくいい音だ。

岡村 「このギターは×××の弦がBestだな。」
マニピュレーター 「うん、男性的な音がしてる。」

僕には(高くて)買えそうにないフォークギターを1本岡村は手に入れた。このギターで、次の日からまたレコーディングをする。